英国の車両(1/76)

 

イギリスは鉄道発祥の地、鉄道模型も古くから盛んでアマチュアのレベルは高いのですが、量産品はドイツ形に比べると今一つです。実物の車両断面が小さいため、16.5mmの線路の上をHOスケール(1/87)でなくOOスケール(1/76)で作った模型が多いのも特徴です。この点、日本型が16.5mmの線路に1/80の車両を走らせているのに似たところがあります。トンネルで大陸とつながりユーロスターが乗り入れて来るようになりましたが、そうなるとイギリスでもHO(1/87)が増えてくるのか、今後が楽しみです。

1. Gresley A3 Pacific (HORNBY)

(1988年入線)
流線形カバーが付く前のグレスリー3気筒パシフィック形急行機関車。モルードの石炭は日本の間隔では異常に大きく見えますが、イギリスでは大きな石炭の固まりを使用し、大きすぎて焚き口に入らないときはハンマーで砕いていたそうです。

London and North Eastern Railway (LNER)はイギリス4大鉄道の一つでロンドンのキングスクロス駅から東海岸沿いにスコットランドに至る路線を持っていました。ロンドンとスコットランドを結ぶ路線はもう一つ西海岸沿いに走るLondon Midland and Scottish Railway (LMS)があり、両社のスピード競争がイギリスの鉄道史を飾る物語の一つでした。
戦後、英国の鉄道はBritish Railwayに統合されましたが、現在は分割民営化で25の会社が列車を運行しています。LNERの路線はGreat North easten Railway Northem Spirit 等になっています。
ハーバート・ニジェル・グレスリーはLNERの技師長で、彼の設計した代表的な機関車が3シリンダー急行型機関車A1形、その改良A3形、さらに流線型のA4形です。
1932年、LNERはA1形機関車で「フライング・スコッツマン」のロンドン・エジンバラ間632kmをノンストップ7時間30分で結びました。これは当時のノンストップ世界記録で、これを達成するため走行中に線路の間の溝から水を補給する装置やテンダー内部に通路を設け走行中に機関士が交代できるようにするなどの工夫がなされました。なお、同じ1932年にドイツではディーゼル高速列車「フラーゲンダーハンブルガー」が最高速度160km/h、評定速度125km/hでハンブルグ・ベルリン間の運転を開始し世界に衝撃を与えています。グレスリーも「フラーゲンダーハンブルガー」の調査に行きましたが、当時のディーゼルでは豪華列車の運行は難しいとの判断で蒸気機関車による高速列車の開発を進めることとなりました。

2. Gresley A4 Pacific (HORNBY)


A4の初期形 「シルバーフォックス」
(1988年入線)
初期のA4のテンダーには走行中に
運転手が交代するために通る通路が設けてありました。

LNERではロンドン・ニューカッスル間(431km)を4時間で結ぶ高速列車の計画をたて専用の機関車と客車の設計と製造を進め1935年に完成したのがA4形です。1935年は国王ジョージ5世の即位25周年銀冠式(シルバージュビリー)に当たることから、この高速列車は「シルバージュビリー」と名付けられ機関車と客車は銀灰色に塗装されました。機関車は1号機が「シルバー・リンク」、2号機が「クイック・シルバー」、3号機が「シルバー・キング」、4号機が「シルバー・フォックス」とシルバーにちなんだ名前が付けられています。


A4の最終形 「マラード」
(1999年入線)

最終形にはテンダー通路はありません

「シルバーフォックス」テンダードライブで
1軸と3軸を駆動、2軸と4軸は
駆動しませんがギヤは付いています。

駆動する1軸と3軸にのみギヤが付いています。
機関車で左右のレールから集電する用になり
連結ピンの取付部に金属板が付いています。

平ギヤを使用した動力伝達システム、右側が「マラード」号用の新しいもの、写真の裏側になりますが、モータブラシも改良されています。
HORNBY製模型の「マラード」号は12Vでスケール速度256km/hを出す超高速モデルですが、エンジン・テンダー両方からの集電の効果もあり低速でも安定した走行が可能です。

「シルバー・ジュビリー」の成功で、LNERはさらにA4形の増備を進め1937年にはロンドン・エジンバラ間を、それまでの7時間30分から6時間に短縮する「コロネーション」の運転を開始しました。この「コロネーション」の機関車と客車はガーターブルーと呼ばれるガーター勲章のリボンと同じ濃いブルーで塗装されました。さらに1938年からはフライングスコッツマン」も新型客車が完成してA4形牽引になるなど、A4形は英国の蒸気機関車黄金時代を代表する急行機関車として活躍しました。A4形は合計35両製造されました。
(1999年、ロンドン・エジンバラ間はIC125で4時間07分ですが列車名はなくなってしましました。)

1936年にドイツが05 002で蒸気機関車の世界最高速度200.4km/hの記録をたてました。鉄道発祥の地であるイギリスは何としてもこの記録を打ち破りたいと考えA4形で高速試験を行いました。1938年、登場間もないA4形4468番「マラード」号が6両の「コロネーション」用の客車と高速試験車を牽引し5/1000の下り勾配を9.6km下って182km/hmさらに加速を続けロンドンから145km付近の地点で126.5mph(202km/h)の世界記録を出しました。この記録は、その後更新されることなく第2次世界大戦に突入し、そして蒸気機関車の時代は終わりをつげることになりました。「マラード」号はYORKの鉄道博物館に動態保存されています。

実物データ

  シリンダー 動輪直径 軸重 缶圧力 火格子 製造初年 製造両数
A3 483mm3気筒 2032mm 22.4t 15.5kg/cm2 3.8m2    
A4 470mm3気筒 2032mm 22.35t 17.6kg/cm2 3.8m2 1935年 35
ドイツ05 450mm3気筒  2300mm 19.4t 20kg/cm2 4.40m2 1937年 3

3.THOMAS THE TANK ENGINE(HORNBY)

16.5mmの線路を走るトーマスはホーンビーから発売されています。


客車のアーニーはLMSの4輪客車の塗り替えです。

上がLMSの4輪客車でMADE IN GREAT BRITIN
車軸はプラスチック
下がAnnieでMADE IN CHAINAで金属車軸

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