JR東日本 719系5000番台
JR East 719-5000 (A Handcraft Paper Body Model)

JRが新幹線以外の標準軌電車として最初に製作した車が奥羽本線(山形線)用の719系5000番台です。東北本線仙台地区用の719系を基に標準軌用台車の採用、耐雪構造の強化、急勾配対策、ワンマン運転用設備が設けられています。
標準軌も狭軌も同じスケールで楽しめるのHO(1/87)のメリットを生かし作ることにしました。

2001.7.29


製作記録

本来は813系の後に作る予定でいましたが、719系はベンチレーターがあり、これをどう作るか悩んでいました。
IMONから角形ベンチレーターが分売されたので問題となるパーツはなくなり製作に取りかかりました。

ペーパー製電車の製作過程です。
(1) 図面 
  鉄道ファン347号の719系の図面(1/80)を92%で縮小コピーしています。
  非公式側はOPHシートにコピーして再度裏焼きする方法で行いました。
  (なおオハ61系の時は一度スキャナーで取り込んで画像ソフトで反転する方法を使用しました。)

(2)車体の芯
 工作用の方眼紙を使いました。側板27mm、屋根37mmです。
 下から7mmのところに鉄筆で側板の折り目を付けます。また屋根カーブの始まり部分は1mm毎にカッターで切れ目を入れ滑らかに曲げられる様にしておきます。
この段階で車体断面の曲げくせを付けておきます。


曲げくせをつけた車体(奥)

FRP製の正面はケント紙
で作ります。側面部は工作紙

(3)ステンレス側板
 コピー用紙を切り抜き裏からビードを鉄筆で浮き出させます。
 ビードを付けた後で、芯となる工作用紙にスプレー糊で張り付けます。
 窓枠、ドアの縁はもう一枚コピー用紙を切り抜き重ね貼りします。

(4)窓抜き
 窓枠、ドア枠を貼った後で窓を抜きます。角のRは彫刻刀、直線部はカッターで抜いています。
 運転室のドアは一度抜いて、手すり部分を切り落としてからドアと内張に再度貼り付けます。

(5)ドア
 ケント紙に図面をコピーし、ドアの窓を抜きます。


ドアと内張

ドアと窓を抜いた車体

妻板と運転席の仕切で箱にした状態

(6)台車(2001.6.24)
 1/80の台車を改造した手抜きでお茶を濁します。
長手方向は1/80と1/87の1割の差はごまかせますが、枕木方向は手を入れる必要が生じました。
DT-60は砂箱を取り付け、さらに運転台側にはスノープローを取り付けます。
車輪は9.8mmのSEM製を使用しました。クハはピボット軸なので、SEM製の輪軸をそのまま使用しています。
クモハはMPギヤの車軸を使用し車輪をSEM製に交換しました。


標準軌用に空気バネの
位置を修正します。

クモハの台車は砂箱付き
 

(7)下塗り (2001.2.4)
屋根のビード、歩み板、雨樋を取付け、メタルプライマーを吹き付けます。 
車体全体にGM(グリーンマックス)のスプレー8 銀色を吹き付けました。

(8)FRPの運転台の塗装をしました。(2001.3.11)
(9)車体の帯は白ディカールに塗装。
(10)運転台組立(2001.5.6)
塗装した運転台の内側に窓下の板、ガラス、行先表示、窓上部の板、列車番号板を順に貼り付けます。


車体の帯はデカールに塗装

運転台の部品
運転台組立(2001.5.6)

制御盤取付け
運転手乗務

(11)ヘッドライト、テールライト取り付け(2001.5.15)
ヘッドライトは米粒球(12V)2個並列、ダイオードで切り換え、テールライトは赤色LED2個直列+100Ω抵抗です。
制御盤と運転手を乗せます(2001.5.19)。

(12)運転台取り付け(2001.5.20)
運転台を車体に取り付けました。

(13)屋根上(2001.6.3)
クーラーはAU701Aです。1/87は市販品がないのでペーパー自作です。
ベンチレターはIMONの角形を使いました。列車無線アンテナはホダカ模型の引物が小さめなので使いました。
発炎筒はKATO、汽笛はKATOにペーパーのカバーをかぶせています。
クモハの幌はKATOを切りつめて作りました。

(14)床板(2001.6.3)
床板の構造は前回のE127系と同じです。
動力車のクモハは1mm厚の真鍮板、付随車のクハは3mm厚のアガシ材で床板を作りました。
配線はクモハ用はビニールテープを貼った上にクハは直接床板に銅テープを貼っています。

ヘッドライト、テールライトの集電はプリント基板から出した配線が、この銅テープに接触して行う構造です。

(15)床下機器(2001.6.17)
床下機器は角材とプラ棒、プラ波板で作りました。エアータンクはカワイ製を使用しています。
台車、床下機器をグリーンマックスのNo.9 国鉄ねずみ1号で塗装しました。

(16)スカート(2001.7.10)
スカートとスノープローは真鍮板で作りました。5000番台はスノープローが2重になっています。
電気連結器付き密着連結器とジャンパ連結器はエンドウの1/80パーツを使用しています。


左が1/80既製品、右が今回作ったパンタ

計器変圧器、真空遮断機
とともにパンタ取り付け

(17)パンタグラフ(2001.7.11)
パンタグラフは1/80のパーツを使用すると大きすぎるので自作しました。
基本的には813系と同じ下枠交差型ですが耐雪カバーが付いたPS104です。
しばらくぶりに作ったので作り方を忘れて手戻りが幾つかありました。
実物の写真と1/80の製品を見比べると、かなり構造・外観が異なります。
しかし、模型化するには1/80を1割小さくした方が容易です。

計器変圧器、真空遮断機は角材から作りました。真空遮断機と交流避雷器の碍子はアリイの485系のプラ碍子を使っています。
その他の碍子は天賞堂の5段碍子を使用しました。(2001.7.15)

パンタ取り付け後の外観(2001.7.15)

(18)試運転(2001.7.21)
試運転は2001.7.21のHOJC第9回運転会(交野市)で行いました。KATOのユニトラックエンドレスを快走しました。
この運転会には西野さんが16.5mmと12mmの分岐器を持って来ました。
3線区間を無理なく表現できるのは1/87スケールのメリットの一つです。
車両が出来たので、線路の方も検討する必要がありそうです。


16.5mmと12mmの分岐器(西野さん製作、ROCOの分岐器を改造)

(19)内装(2001.7.29)
室内はトイレの仕切と、イスを取り付けました。イスはボール紙を曲げて塗装した簡易タイプです。
以上で、719系−5000番台が完成しました。


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